ハネムーン期
「おい、バカ野郎!お前の偽善めいた笑顔と、あの惨めな女房と一緒に、このいかにもな教会にぬけぬけと入ってくるつもりか?俺の友達がお前の子供を抱えて路上に座ってるっていうのに!今すぐここへ来い!そしたら、あの嘘つき面が分からなくなるまで、お前のケツをぶっ飛ばしてやる、人間以下のクズが!」
少しの間、静寂が続いた。
そして、地獄絵図が始まった。
元婚約者に最大限の痛みを与えるような個性を使った花嫁からの「バシッ」という音が響き渡ったのが始まりだった。最前列近くの女性が気絶し、ウェディングケーキとガラスの白鳥の彫刻が置かれたテーブルを倒した。散乱した破片に、指輪の担ぎ手が跳び上がった。彼女の個性は誤って発動し、花嫁の介添人を空中に放り上げた。白と赤の髪を半分ずつ持つ男が像を救おうとしたが、電線につまずき、部屋全体が暗闇に包まれた。やがて、建物の中にいた他の全員もそれに続いた。
完全なる混沌の中で、勝己が感じる至福の最中、誰かが彼の袖をつかんだ。そこには、大きく好奇に満ちた緑色の瞳があった。「すみません、新郎です。あなたとは面識が?」
…
くそ。間違えた結婚式に乱入した。