ココ

ヨンジェは背中に激痛が走る。ジェボムが彼を勢いよく洗面所のドアに押し付け、シャツをぐしゃぐしゃにしているからだ。ジェボムは狂気じみた様子で、ヨンジェの目と震える唇を交互に見つめている。髪は乱れ、目は大きく見開かれ、深く暗いその瞳にヨンジェは意識を失いそうになる。今ほどジェボムが完璧に見えたことはないとヨンジェは思う。ジェボムの呼吸は荒く、ヨンジェの顔に吐息が当たるほど近く、頬をくすぐる。ジェボムはさらに近づいてきて、ヨンジェは息苦しくなり、心臓が激しく鼓動し、手のひらには汗がにじむ。 「こんなはずじゃなかった」とヨンジェは思う。ジェボムがさらに近づいてくる。もうあと少しで、とヨンジェのどこか絶望的な部分が考える。 「お前は俺をむかつかせる。」

チェ・ヨンエの人生で最も大切なものは、彼の犬ココです。パク・ジンヨンの生命で最も大切なものは、22人の鼻水たらたらの可愛い生徒たちです。イム・ジェボムの人生で最も大切なものは、彼のプロデューサーとしてのキャリアです。3人とも恋愛には全く関心がありませんでしたが、ある日、思い切った行動と口出し好きなカップルが介入。そして、数々のブラインドデート、ロマンチックな映画のワンシーンのような出来事、ドキドキするような瞬間へと繋がっていきます。